【情報収集から始める採用戦略】効果的な情報収集方法と採用戦略設計への活かし方
採用活動では、市場情報の収集や戦略立案の段階でつまずくと、その後の母集団形成や選考プロセスが円滑に進まなくなることがあります。そこで今回は、中途採用における効果的な市場情報の収集方法と、その情報をもとにした採用戦略の設計 […]
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選考におけるフォローアップは、アトラクトに大きな影響を与える重要な要素です。
では、「正しいフォローアップ」とはどのようなものなのでしょうか。また、それを実践するために必要なポイントとは何なのでしょうか。
今回は、フォローアップの重要性とその具体的な手法についてご紹介いたします。
面接には、2つの重要な側面があります。
①「自社が求める人物かどうかを判断する」というスキル面、スタンス面、人物面を含めたジャッジメント
②「面接を通じて自社の魅力を伝え、候補者に興味を持ってもらう」というアトラクト
この2つの動きが両立して初めて、効果的な面接が成立すると言えます。
優秀な人材を採用するためには、自社の魅力をしっかりと伝えることが重要です。
しかし、面接が候補者への一方的な確認作業に終始してしまう企業も少なくありません。例えば、「スキルは十分か」「どのような経験があるか」「特定の課題に対応できるか」といった質問を投げかけるだけで面接が終わってしまうケースが見受けられます。
転職は候補者にとって人生の大きな転機であり、その判断材料を提供することも企業の責任です。候補者が知り得ない「自社のチームの雰囲気」や「働いているメンバーの人柄」、「事業の将来性」などを具体的に伝えることが重要なのです。
また、候補者がその会社を選ぶことで得られるメリットについても積極的にインプットする必要があります。そのため、面接は単なる評価の場ではなく、候補者と企業がお互いを理解し合う貴重な場であると考えることが大切です。
面接においては、時間配分を工夫し、仮に1時間の面接であれば最後の20分程度をアトラクトに充てる戦術が非常に重要です。そのため、タイムマネジメントの戦術を意識する必要があります。
面接時間を各項目にどの程度割り当てるべきかは一概には言えません。しかし、候補者の志望度や、競合他社と比較してどの点で迷いがあるのかを事前にヒアリングし、その情報をもとに戦略を立てることが最善といえます。
他社との競争に勝つためには、こうした面接時間の配分を含めた戦略的な取り組みが欠かせません。
本来、面接が効果的に行われていれば、面接後にフォローアップを行う必要はありません。事前に十分な調査を行い、先述した取り組みを面接の場でしっかり実践できていれば、追加のフォローアップは不要となるはずです。そのため、フォローアップを必要としない状態にまで準備を整えることが重要です。
それでも、選考後にフォローアップが必要となった場合には、例えば、人事と現場の双方で面接を行ったケースでは、人事担当者が、「どのような懸念があるのか」や「実際にどのように感じたのか」をヒアリングするのが有効な手段の一つです。
その際、候補者が他社との比較で悩んでいるポイントを客観的に把握することも重要です。それが自社で解決可能な課題である場合には、「伝えきれていない情報があるのか」「もっと自社の魅力を伝えるべきなのか」を分析し、効果的な対応を行う必要があります。
しかし、「とりあえず面談を行えば良い」という安易な考えで面談を実施し、候補者にとって有意義な時間を提供できない場合、モチベーションを低下させてしまう可能性があります。現在の採用市場では、このような事例が頻繁に見受けられるため、十分な注意が求められます。
こうした事態を避けるためにも、面談を行う際には、明確なゴールを設定することが非常に重要です。
「どうすれば候補者に響く戦略を立てられるか」を考えるためには、候補者の周辺情報を徹底的にヒアリングする必要があります。また、エージェント経由の紹介であればエージェントとの緊密なコミュニケーションが欠かせませんし、エージェントとの関係性が強くないと、こうした緻密なコミュニケーションは難しい場合もあります。エージェントがどの程度候補者と密なやり取りをしているかは、企業の人事側からは見えないことも多いですが、そうした中でも、候補者の状況を正確に理解する必要があるのです。
面接後にフォローアップが必要な状況を生んでしまう場合、それは面接の本来の目的である「ジャッジメント」と「アトラクト」のうち、アトラクトが十分に行われていないことを意味します。
こうした状況を防ぐためには、面接に臨む前に候補者の状況や競合他社の動向を正確に把握しておくことが重要です。
<例:候補者が複数社に応募している場合>
以下の4点を事前に調査します。
・自社が候補者の選択肢の中でどの順位に位置付けられているか
・その順位の理由
・自社に対するポジティブな要素
・自社に対するネガティブな要素
これらの情報を基に面接時のコミュニケーションを設計し、候補者がネガティブに感じている点を解消するとともに、ポジティブに評価している点をさらに強化するアプローチを行います。
すべての面接官がこの戦略に基づいたコミュニケーションを実施すれば、候補者の自社に対する意向度を大幅に高めることが可能です。
正しいフォローアップの形を示すとすれば、「面接の中でフォローアップを実施する」という表現が適切でしょう。また、その目的は「アトラクト」であると言えます。
「選考をして終わってしまう」という課題を抱える企業は、フォローアップを通じて自社の魅力を候補者に伝えることを目指していると考えられます。しかし、まずは「フォローアップを面接の中で実施する」という仕組みを整えることが必要です。
面接の目的が「求める人物かどうかを判断するジャッジメント」だけに偏ってしまうと、アトラクトの部分に目が向かず、面接中にフォローアップを行うことも難しくなります。そのため、これら2つの目的をしっかりと意識しながら面接を進めることが重要です。