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選考設計で採用を成功に導く、評価と体験のデザイン術

石川雄大

石川 雄大

新卒採用支援事業部 事業部長

目次

適切な選考設計にはいくつかの必須要件があります。まず、ターゲットが明確でない場合、選考設計自体が成り立ちません。さらに、面接が単なるスタンス評価や意向確認に終わってしまうと、重要な自社での活躍可能性を見極めることができません。

そこで今回は、ターゲット選定から選考設計までの適切な手順についてご紹介いたします。

ターゲット選定の手順と実践方法

母集団形成におけるターゲット選定の手段と方法については、noteにて公開している記事で詳しく解説しております。以下のリンクよりご確認いただけます。

https://note.com/starmine_inc/n/n333d1372c1eb

採用成功に欠かせない選考設計の2大要素

選考設計において重要なポイントは、大きく分けて下記の2つです。

①自社で幸せに働ける人材を明確に見極めること
②良い体験を提供し、魅力を伝えること

基本的には、この「見極め」と「魅力付け」の2つが重要な要素となります。

多くの企業では、見極めに重点を置きすぎて、魅力付けが不足してしまうことがよくあります。その結果、内定を出した後に口説きに行くものの、十分に魅力を伝えきれないという事態が発生するのです。

選考と聞くと、「見極め」や「評価」が主に意識されがちですが、それだけでは不十分であり、選考過程では、評価を行いながらも、同時に自社の魅力を伝えるための良い体験を提供することが非常に重要なポイントです。

選考の設計については、先述のnote記事で触れた「行動の再現性」や、その人の価値観・考え方、未来に対するビジョンが、自社で働くことがその人にとって幸せにつながるかどうかを見極めることが必要です。

【選考設計の基本】人物を紐解き、未来を見定める

結局、選考で尋ねるべきことは「あなたは誰ですか?」と「将来どうなりたいですか?」の2つに尽きます。このため、選考設計には、これらの観点をしっかりと組み込むことが重要です。

「あなたは誰ですか?」 ― 人物を紐解く

これには、行動の再現性やコンピテンシーが含まれるため、選考設計では「自社で成果を出せる人材を見極めること」が重要となります。この点を最も簡単に言語化する方法が「活躍人材の分析」です。

成果を上げている人材や優秀とされる人の行動特性は、通常、その会社のバリューとして明文化されています。そのため、会社にバリューがある場合、そのバリューに基づいて人材を強化していくことが適切だと言えます。

一方、バリューがない場合は、自社で優れた成果を上げている人材がどのような行動特性を持っているかを分析し、その特性を評価項目として明確化することが必要です。

<行動の再現性の見定め方:ケース面接・適性検査>
面接でガクチカを聞くだけでは十分に評価できないため、実際の現場に近い仕事を体験できる短期インターンシップなどを通じて、実務に基づいた評価を行うことがあります。ここでは、実際の業務に近い状況を模したケースを使い、地頭の良さや問題解決能力を確認します。

将来どうなりたいですか? ― 未来を見定める

ここでは、候補者が描く未来や目指す方向と、会社が提供できるものや自社で得られる経験が一致しているかどうかが重要です。いわゆるカルチャーフィットや会社と自分との相性がポイントとなります。これは評価項目というよりも、どちらかというと定性的に評価するべきものです。

例えば、目指す方向が合わないからといってその人が優秀でないわけではなく、単に目標が異なるだけで、その人は十分に優秀である可能性があります。しかし、目指す方向が異なる人を採用すると、最終的には仕事のコンディションが崩れ、離職するリスクもあります。
そのため、「優秀で自社に合った人を採用する」ことが、選考設計においては重要です。

<カルチャーフィットの見定め方①:会社の戦略的方向性>
例えば、PMFが達成されたので、これからは新しいものを作るのではなく、既存の事業をコツコツと回し続け、オペレーショナルエクセレンスを追求する方針で進むということであれば、カルチャーフィットとして重視すべき価値観は、新しいことに挑戦し、トライアンドエラーを繰り返しながら失敗を恐れずに頑張るタイプの人材よりも、ミスをしないよう慎重で、同じ作業を繰り返し行える真面目な性格の人の方が適していると言えるでしょう。
つまり、組織がどの方向に向かうのかに合わせて、採用すべき人材の価値観や適性は決まってくるのです。

<カルチャーフィットの見定め方②:MVVとの整合性>
「このミッションだから、こういった価値観の人は合わない」という場合もあれば、「このミッションを進めるためには、こういった人も必要だ」と解釈できることもあります。しかし、方針を明確に定めずに進めてしまうと、組織崩壊を引き起こすリスクがあります。

そのため、方針をしっかりと策定した上で、「この範囲なら許容できる」「この範囲は少し外れている」といった判断を行うことが大切です。

候補者の心を動かす面接体験の設計術

「良い体験の提供」では、候補者にとっての体験がどうあるべきかを繰り返し考えていくことが重要です。

例えば、ぶっきらぼうに1問1答の面接を行うのと、フランクに候補者に向き合いながら面接をするのでは、どちらが候補者にとって良い体験になるかと言えば、後者です。このように、自社が採用したいターゲットに対して「どのような時間を過ごしてもらえば良い体験になるか」「何を伝えたら魅力的に感じてもらえるか」「どのように時間を配分すべきか」といったことを考えることが、良質な体験の設計に繋がります。

<例:人生にとって有意義な体験を設計する>
面接の場で候補者の人生に真摯に向き合い、面接の最後に採用担当者が全力でフィードバックを行うことは、体験設計の一環として非常に有効です。面接を単なる選考の場にとどめず、候補者の人生が少しでも前進するきっかけとなる時間を提供することを目指します。

これは「会社のファンをつくる」というブランディングの観点でも非常に重要です。

お互いに貴重な1時間を共有する以上、「双方にとって有意義な時間を過ごす」という姿勢が、「良い体験設計」を考える上での基本となります。そのためには、面接のあり方や進め方について議論し、改善を重ねていくことが大切です。

採用はチームで作る。戦略と連携の重要性

採用はチームプレーです。最終的にゴールを決めるのは社長や最終面接官ですが、そこに至るまでの「ボールの繋ぎ方」がとても重要です。

そのプロセスを、一気に進めるのか、細かく丁寧にパスを繋ぐのか、テクニカルに進めるのか、型にはまらず自由に任せるのかといったように、攻め方にはさまざまな選択肢があります。そのため、どのような方針で進めるのかを明確に定めることが大切です。

この記事を書いたメンバー

石川雄大

YUDAI ISHIKAWA

石川 雄大

新卒採用支援事業部 事業部長

大学1年生からWebマーケティング事業を展開する株式会社キュービックにて長期インターンシップをスタート。 営業・Webマーケティング・採用担当を経て、長期インターン採用責任者と新卒採用責任者に就任。大学卒業後、正社員として同社に新卒入社。 その後、株式会社土屋鞄製造所に入社。新卒採用責任者を任され、長期インターン制度の立ち上げを行う。 2023年にSTARMINEへ参画。 新卒採用支援事業部の事業部長を務め、新卒採用コンサルティング業務に従事。

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